大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和地方裁判所 平成8年(行オ)1号 判決 1996年3月25日

埼玉県岩槻市太田二丁目一〇番一〇号

再審原告

鈴木真吾

埼玉県春日部市大沼二-一二-一

再審被告

春日部税務署長 草間孝

主文

一  本件再審の訴を却下する。

二  再審費用は、再審原告の負担とする。

事実及び理由

一  再審原告は、「浦和地方裁判所平成六年(行ウ)第一〇号確定申告及び源泉徴収所得税取消等請求事件(以下、「本件事件」という。)について、同裁判所が言い渡した判決(以下、「原判決」という。)を取り消す。再審被告は、再審原告に対し、金七五一万四七〇〇円に対する昭和六三年七月一日から支払済みまで年七・三パーセントの割合による金員を支払え。本案訴訟費用及び再審訴訟費用はいずれも再審被告の負担とする。」との判決を求め、再審事由として次のとおり主張した。

1  再審被告の氏名は「春日部税務署長」であるが、原判決の判決書においては、右被告の氏名が「春日部税眷署長」と記載されており、判決に明白な誤謬があるにもかかわらず、職権により更正決定がなされていない。

2  再審被告の住所は「埼玉県春日部市大字大沼二丁目一二番地一」であるが、原判決の判決書においては、右被告の住所が「同県春日部市大沼二丁目一二-一一」と記載されている。

3  本件事件の記録の表紙には、書記官の認印、代理人の記載及び事件名の消除部分の認印がなく、また、「全冊の内第 冊」との記載の空欄部分が無記入である。

4  右記録の綴には通し番号がなく、各期日調書が一体であることの証明ができない。

5  本件事件の第一回口頭弁論期日の弁論調書は、欠席した当事者の氏名が記載されておらず、また、被告及び被告指定代理人のうち、右期日に出頭した者は一名ではなかったにもかかわらず、被告指定代理人松村玲子と記載されているのみである。また、同人は検察官であるにもかかわらず、検事の職名が記載されていない。

6  本件事件の第二回口頭弁論期日の弁論調書は、欠席した被告指定代理人の氏名が記載されておらず、また、右5同様、出席した検察官につき、検事の職名が記載されていない。

7  本件事件の第三回及び第四回口頭弁論期日(判決言渡期日)の弁論調書には、いずれも欠席した被告指定代理人の氏名が記載されておらず、また、前記5同様、出席した検察官につき、検事の職名が記載されていない。さらに、いずれも弁論の要領欄に「裁判長」と記載されているだけで、その氏名の記載がない。

8  原判決には、原判決の別紙請求原因の五枚目裏八行目「(四)国税通則法、第二十四条に関する法令違反について」から同一七枚目裏四ないし五行目「課税が適正でないときは、税務官公署がこれを是正するのが責務である。」につき、裁判の脱漏がある。

二  しかしながら、再審原告が主張する右1ないし7の理由がいずれも民事訴訟法第四二〇条第一項各号の再審事由に該当しないことは明らかである。

また、原判決によれば、原判決の別紙請求の原因の五枚目裏八行目以下から同一七枚目裏五行目までには、国税通則法第二四条に関する法令違反の主張が記載されており、その趣旨は、課税処分の法令違反を主張するものと認められる。しかしながら、原判決によれば、本件事件における請求の趣旨は、「1被告が原告に対し平成五年一月五日付けでした異議申立棄却決定を取り消す。2被告は、原告に対し、金七五一万四七〇〇円に対する昭和六三年七月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。3訴訟費用は被告の負担とする。」というものであるところ、原判決は、右請求の趣旨第一項にかかる訴えは、出訴期間を徒過して提起されたものとして、右請求の趣旨第二項にかかる訴えは、被告とされたものが当事者能力を有しないとして、いずれも不適法として却下したものである。したがって、原判決に判断の脱漏がないことは明らかであって、再審原告が主張する右8の理由は、民事訴訟法第四二〇条第一項第九号に該当しないものである。

よって、本件再審の不適法であり、その欠缺が補正できないことは明らかであるから、これを却下することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大喜多啓光 裁判官 高橋祥子 裁判官 岡口基一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例